のりさん牧師のブログ

おもに聖書からのメッセージをお届けします。https://ribenmenonaitobaishikirisutojiaohui.webnode.jp/

異邦人の兄弟たちに

使徒の働き 15章22~29節

 

"そこで、使徒たちと長老たちは、全教会とともに、自分たちの中から人を選んで、パウロバルナバと一緒にアンティオキアに送ることに決めた。

 

選ばれたのはバルサバと呼ばれるユダとシラスで、兄弟たちの間で指導的な人であった。

 

彼らはこの人たちに託して、こう書き送った。

 

「兄弟である使徒たちと長老たちは、アンティオキア、シリア、キリキアにいる異邦人の兄弟たちに、あいさつを送ります。


私たちは何も指示していないのに、私たちの中のある者たちが出て行って、いろいろなことを言ってあなたがたを混乱させ、あなたがたの心を動揺させたと聞きました。


そこで私たちは人を選び、私たちの愛するバルナバパウロと一緒に、あなたがたのところに送ることを、全会一致で決めました。


私たちの主イエス・キリストの名のために、いのちを献げている、バルナバパウロと一緒にです。


こういうわけで、私たちはユダとシラスを遣わします。彼らは口頭で同じことを伝えるでしょう。


聖霊と私たちは、次の必要なことのほかには、あなたがたに、それ以上のどんな重荷も負わせないことを決めました。


すなわち、偶像に供えたものと、血と、絞め殺したものと、淫らな行いを避けることです。これらを避けていれば、それで結構です。祝福を祈ります。」"

 エルサレム会議は、主の兄弟ヤコブの提案によって、異邦人のクリスチャンにとってもユダヤ人のクリスチャンにとっても不利にならないよう、また聖書から逸脱しないように決議し終えました。

 

 その結果を全員に知らせるために、エルサレム教会は、これからアンティオキア教会に帰ろうとするバルナバパウロと一緒に、新たにバルサバと呼ばれるユダとシラスを派遣することにしました。

 ここでバルナバパウロだけに任せずにユダとシラスが選ばれたことは、とても大切なことです。

 これは、バルナバパウロを信用していないわけではなく、エルサレム教会からの使者としての彼らを同行させ、彼らを通して報告させることによって、エルサレム会議での決定事項が全教会にとっての公式な約束ごとであることを示しているのではないでしょうか。

 エルサレム会議で決定した内容には、ヤコブから提案があったように、異邦人への割礼の強要はしないまでも、偶像にささげられたもの、締め殺したもの、淫らな行いを避けることが加えられたように、異邦人社会では特に問題となっていない生活習慣や道徳性について、ユダヤ人クリスチャンへ配慮すること、律法で言われているきよさを保つ生活習慣を守るべきことが盛り込まれました。

 それがアンティオキア教会に対するだけの決定事項ではなく、エルサレム教会も含めた全教会の守るべき決定であるということをユダとシラスから説明させることで、公明性を示すことになるのではないでしょうか。

 

 このように、全教会は律法主義者クリスチャンによる、異邦人クリスチャンに対する一方的な教えを排除して、全教会として大切な信仰の姿勢を確認して保つように心がけたのです。そして、その決定事項も、手紙と使者という二本立てを用いて、丁寧に周知することを選んだのでした。

 私たちもそれぞれ地域教会としての個性はあると思いますが、いつも全教会的な視野と教理の確認を行うものでありたいです。その際、ユダとシラスが選ばれたように、丁寧な説明を心がけることが全ての教会の信徒に対する配慮ではないでしょうか。

 配慮しながら、信仰の一致の確認と努力を続ける。この姿勢を私たちも受け継いでまいりましょう。現在は多くの教派があり、その伝統への配慮も必要でしょう。しかし教派主義に陥ってはなりません。自分たちの存在意義を強調するような教理は教派の個性ではなく、キリスト教会に分裂を与えるものです。

 教派教会として、ではなくキリスト教会として、という視野が大切ではないでしょうか。

 ユダヤ人クリスチャンたちが異邦人の兄弟たちにと、その個性を尊重した上で「兄弟」と呼び、その個性を包括するキリスト教会の広さを表したように、私たちもそのようでありたいものです。

 それはもちろん聖書から逸脱しないことは明白です。神について、罪について、救いにはついての教理は全ての教会が一致していなければなりません。その福音理解も、このエルサレム会議のような話し合いの中で、聖霊の助けにより聖書に基づいて足並みを揃えてまいりましょう。